子どもたちに豊かな人生を    理事長 赤羽惠子

その男の子は、真っ白なズボンをはいて、毎日毎日砂場で泥んこあそびをしていました。

「お弁当の時間ですよ」と言われても、「ぼく、いらない」。
「いっしょにあそぼ」と誘われても、「いい」と砂穴の中へ。

「バスが出ますよ」と言われてやっと、泥だらけの服を着替え、食べなかったお弁当を抱えて帰りました。

「もっとモンテッソーリの教具をやらせてください」と、お母様は言われました。
が、年少の一学期中、その子は泥あそびをし続け、二学期のある日突然「もう、すんだ」と宣言してその仕事を終えました。
それからは落ち着いて周りに目を向け、様々な活動に取り組むようになりました。
それまで十分にできなかったことを、深草こどもの家の自由な時間と空間の中で、やり遂げたのです。


■一人ひとり違うのがあたりまえ!■

大人の社会には、人より早くしなければならないことが数多くあります。
でも子どもの教育に関しては、急いでいいことはひとつもない。
子どもは生来の自然の法則に従って育ちます。
成長剤を与えて早く大きくなったり、早く上手になったり、早くわかったりすることは決してないのです。
むしろそういう子どもに限ってやり直しをしなければならない。
"一人ひとりの子どもは、同じやり方で教育されたいとは思っていない"のです。
どの子も皆、性格が違います。
変化に富んだ自然豊かなこの園で、それぞれが好きなものから、興味を持ったところから自由にやりたいことを選び取り、全員が違うやり方で自然に伸びていく姿を、私は何十年も見てきました。


■もっと「子ども社会」を■

そして、子どもにとってどうしても必要なのは、多種多様な子どものいる「子ども社会」です。
多様性とは、年齢の異なる子どもたちが大勢いる生活環境です。
幼児にとって年齢の差は、男女の差よりもずっと大きいからです。
大人の愛情のこもった語りかけも、子どもの心を豊かにします。
「ダメ!」の一言で抑えるのではなく、子どもなりの考え方を聞いた上で、大人が洗練された言葉で説明すると、 まわりの人の心の内を読み取り、言葉を使って問題解決ができるようになります。
「子ども社会」では、自然にいろいろな仲間を観察し、模倣し、学んだり教えたりしながら、
自分も他の子どもも変わり、全体が成長していくのです。


■ここは人間社会の縮図です■

人は書物よりも、人から一番多くのことを学びます。
さまざまな人間が生活し、多種多様な考え方が存在する私たち人間の社会では、
「多種多様な人間と付き合うことの出来る自分創りをしていくこと」が、将来の豊かな人生につながるのです。
ここには大人もいれば、子どももいる。好きな子もいれば、嫌いな子もいる。
楽しいこと、嫌なこと、うれしいこと、悲しいこと・・・。
私は、この深草こどもの家で、ありとあらゆる経験をし、かけがえのない自分創り(人格を構築する力)の礎を築き、 生き抜く力を身につけてほしいと考えています。
そして、自分に自信を持って、それぞれの豊かな人生に向かって巣立ってほしいと願っています。





深草こどもの家
〒612-0817京都市伏見区深草向ヶ原町17番地 TEL.075-641-8410/FAX.075-642-8588

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